エクソソームとは『細胞外小胞体』の一種です。細胞が放出する小さな袋をイメージするとわかりやすいかと思います。
人の体は約37億個の細胞からできており、筋肉細胞・肝細胞・神経細胞・脂肪細胞など、あらゆる細胞は絶えず分裂して子孫を残して代替わりしていきます。子供・孫・ひ孫と細胞がどんどん新しく生まれ変わっていくのです。
この細胞が分裂するときに、細胞から非常に小さい袋のようなものが放出されます。この袋を総称して『細胞外小胞体』と呼び、エクソソームも細胞外小胞体の一つです。
これらの小胞体には外側に中身を守る膜があり、その中に元の細胞に由来する何種類かの貴重な物質が詰め込まれています。中の物質の情報が体にとって重要な働きをするだけでなく、袋を形成する膜もユニークな働きをしています。このような細胞外小胞体の中でも、他の細胞へのメッセージを届けるメッセンジャーの役割をするのが『エクソソーム』です。
細胞から放出されたエクソソームは血液の流れに乗って全身を巡ります。
このとき細胞はエクソソームという手作りの袋の中に他の細胞にあてた『メッセージの書かれたお札』を入れるのです。そうして送り出されたエクソソームは宛先の細胞まで辿り着き『メッセージを届ける』のです。このお札はマイクロRNAという物質で届け先の細胞の遺伝子に働きかけて、様々な行動を起こさせます。
例えば
『排泄を促進しろ』・『リンパ管を修復しろ』
というように、細胞はこのマイクロRNAを使って離れた場所にある細胞にメッセージを送り、様々な仕事をしてもらっています。これが『エクソソームによる細胞間のコミュニケーション』なのです。
これまでの常識では、象期間のコミュニケーションは一貫して、脳を介して行われると考えられてきました。ところがエクソソームの働きが明らかになって、脳だけが司令塔であるという『常識』が覆されたのです。
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